私は1960年の夏、当時日本中で猛威を振るっていたポリオの大流行の最中に1歳で罹患しました。母の話によれば、突然の高熱と下痢の後、私の左足は一本の紐のようにだらりと垂れ下がり、全く動かなくなったそうです。幸い一命は取り留めましたが、その日から私の人生はポリオ後遺症という重い荷物と共に始まりました。幼い頃の記憶は、病院での繰り返される手術と、重厚な金属製の装具をカチャカチャと鳴らしながら歩く練習の音と共にあります。私の左足は右足に比べて5センチほど短く、太ももは半分ほどの太さしかありません。学校では体育の授業を見学し、走ることができない自分に劣等感を感じた時期もありましたが、それでも20代、30代の頃は人一倍の気力で社会に出て働き、趣味の旅行も楽しみました。しかし、40代を過ぎたあたりから、私の身体に新たな異変が起き始めました。それまでは普通にこなせていた階段の上り下りで息が切れるようになり、何より健康だったはずの右足や腰に、耐えがたい激痛が走るようになったのです。医師からは、長年の不自然な歩き方が身体全体の骨格を歪め、二次的な障害を引き起こしていると説明されました。これがポリオ後遺症の本当の怖さなのだと、その時初めて痛感しました。現在は、以前よりも軽量で高性能なプラスチック製の装具を新調し、歩行時の衝撃を吸収するオーダーメイドの靴を使用しています。また、週に2回はプールに通い、浮力を利用して身体を動かすことで、関節の痛みを和らげつつ筋力を維持する努力を続けています。ポリオ後遺症と共に歩む毎日は、決して平坦な道ではありません。雨の日には足が氷のように冷たくなり、人混みを歩くのは常に転倒の恐怖と隣り合わせです。それでも、私はこの身体があったからこそ、一日一歩を進めることの尊さを知ることができました。ポリオという病気は私の肉体の一部を奪いましたが、代わりに強靭な精神力を与えてくれたと感じています。これからも自分の身体の声に耳を澄ませ、不自由さを慈しみながら、ゆっくりと自分の人生を歩み続けていこうと思います。
昭和の流行から続くポリオ後遺症との生活