溶連菌感染症、正式にはA群β溶血性連鎖球菌感染症と呼ばれるこの病気は、子供の病気というイメージが強いですが、実際には大人も頻繁に感染し、時に子供よりも深刻な後遺症を残すことがあります。大人が溶連菌に感染すると、激しい喉の痛みや38度以上の高熱、体に現れる細かな発疹などが主な症状として現れますが、真に恐ろしいのは急性期の症状が治まった後にやってくる続発性の疾患です。溶連菌そのものは抗生剤の服用によって比較的速やかに退治できますが、排除されたはずの菌に対する身体の過剰な免疫反応が、自分自身の臓器を攻撃し始めることが後遺症の正体です。代表的な後遺症の1つがリウマチ熱です。これは感染から2週間から3週間後に発症することが多く、関節の痛みや腫れ、心臓の炎症を引き起こします。大人の場合、心臓の弁が損傷を受ける心臓弁膜症へと移行するリスクがあり、生涯にわたる健康管理が必要になるケースも珍しくありません。もう1つの重大な後遺症が急性糸球体腎炎です。こちらは喉の痛みが消えてから1週間から2週間後に、尿の色が紅茶のように濁ったり、顔や足に強い浮腫が現れたりすることで気づかれます。腎臓のフィルター機能が一時的に破壊されるため、血圧の上昇や腎不全を招く恐れがあります。大人は仕事や家事の忙しさから「たかが喉風邪」と自己判断し、処方された抗生剤を途中で止めてしまうことが多々ありますが、これが後遺症を招く最大の要因となります。溶連菌は完全に除菌しなければ体内に潜み続け、免疫系の暴走を誘発します。また、大人の溶連菌感染は、周囲にいる子供への感染源になるだけでなく、自分自身が壊死性筋膜炎といった「人食いバクテリア」としての側面を持つ重症感染症へ進展する可能性もゼロではありません。後遺症を防ぐためには、医師の指示通り10日間程度の抗生剤を必ず飲み切ること、そして症状が治まった1ヶ月後くらいに一度、尿検査を受けて腎機能に異常がないかを確認することが医学的な正攻法です。大人の身体は子供よりも免疫応答が複雑であり、一度こじらせると回復に数ヶ月を要することも少なくありません。日頃から喉の違和感に敏感になり、早期発見と徹底した除菌を心がけることが、数年後の自分を守ることに直結するのです。
大人が知るべき溶連菌感染後の合併症と後遺症の基礎知識