川崎病の後遺症を抱えたまま大人になった方が適切に自分の身体を任せられる医療機関を見つけることは将来の健康を守るための最も重要なステップです。しかし多くの一般的な循環器内科では加齢による動脈硬化の診療には慣れていても小児期の血管炎に起因する特殊な冠動脈疾患については十分な知見がない場合もあります。そこで信頼できる相談先を見極めるための具体的な手順をご紹介します。まず最初に行うべきはインターネットで成人先天性心疾患というキーワードで検索することです。川崎病そのものは先天性ではありませんが小児期からの疾患を成人期に引き継いで診る体制が整っている病院は多くの場合この分野の専門外来を設けていています。次にその病院に移行期医療(トランジション)を専門とする窓口があるか、あるいは小児科と循環器内科の連携が密であるかを確認してください。理想的なのは小児科から診ていた患者をスムーズに大人の診療科へ受け渡すシステムが確立されている大学病院や国立の医療センターです。こうした施設では川崎病に特化した長期追跡調査(レジストリ)を行っていることも多く最新のガイドラインに基づいた精密な検査が受けられます。病院のホームページで医師のプロフィールを確認し日本循環器学会の専門医であることはもちろん川崎病に関する論文執筆や学会発表の実績があるかを見るのも1つの指標となります。受診する際には過去の情報をいかに揃えるかが「見極められる側」である患者としての知恵となります。紹介状(診療情報提供書)が手に入ればベストですがもし古い記録が紛失している場合でも自分の記憶にある入院時期、当時の主治医の名前、言われた瘤の大きさなどをメモして持参しましょう。良い医師であれば限られた情報から過去のダメージを推測し現在のリスクを科学的に説明してくれます。逆に過去の病歴を軽視し今は心電図に異常がないから大丈夫と安易に診察を切り上げるような場合はセカンドオピニオンを検討すべきかもしれません。さらにその病院がマルチスライスCTや心臓MRIといった高度な画像診断装置を備えているかどうかも重要なチェックポイントです。大人の川崎病後遺症を管理するには血管の内部を直接覗き込むような精度の高い画像が不可欠だからです。また万が一緊急の手術が必要になった際に心臓血管外科との連携が即座に取れる体制であることも安心材料となります。病院選びは一生のパートナー選びと同じです。自分の不自由さや不安を真摯に受け止めてくれ、かつデータに基づいた冷静な判断を下せるそんな専門医に出会うための努力を惜しまないでください。